税関からの通知、認定手続開始通知書 ~ 意見書提出と認定結果通知 ~

税関

海外サイトで買い物

Amazon、楽天をはじめネット通販は気軽なものになってきています。
実店舗へ足を運ばなくても自宅へ届けてくれる。便利な世の中ですよね。

ネット通販に慣れてくると海外サイトも利用するようになります。
国内ECサイトに比べて届くのは遅いですが、安さが魅力なんですよね。。。
かくいう私もAliExpressやDHgateなどの中国の通販サイトを時々利用したりしています。

中国からの輸入時に多いと思いますが、税関をスルッと通らないことがあります。
追跡番号で追跡した際、追跡履歴に「通関手続中」が2回以上出てくると何か問題が発生している可能性が高いです。
税関にひっかかる理由の多くは、輸入商品に関税法違反の疑い、すなわち、商標権侵害物品の可能性があるためです。
それ以外のパターンもあるかと思いますが、商標権侵害のケースが多いと思います。
要は偽ブランド品、偽造品、パチモノではないかと疑われて通関させてくれない状態です。

開梱確認され商標権侵害の疑いがかかると税関から認定手続開始通知書が届きます。
初めて受け取った方はびっくりするかと思います。私もその一人です。
最近、結果が出ましたので、購入後に認定手続開始通知書を受け取ってから最終結果までの顛末をまとめたいと思います。

認定手続開始通知書

ここまで読んでいる方、私と同じ様に認定手続開始通知書を受け取り『あぁ、どうしよう』となっているのでしょうか。。。
それとも偽物とわかっていて安易に輸入を試みたのでしょうか?偽物とわかっていての輸入は犯罪です。そのような方はいないことを願います。
※2022年5月以降に読まる方は最後まで目を通すことをオススメします。。。
さて、通知書を受け取った場合、相当な確率で当該商品は偽ブランド品だと考えられます。

通知書を受け取った方は (1) 諦める (2) 意見書を提出する という2択からの選択を迫られます。
諦めて通知書に反応しないと商標権を侵害している旨の認定通知書や没収通知書を受けているはずです。

税関からの通知を放置して輸入を繰り返している場合、税関による関税法違反(商標権侵害物品の輸入)に関する捜査が行われ、最終的に検察庁へ関税法違反の罪で告発されることになります。
通知を2、3回無視すると税関・警察が動き出すという話もあるようなので、無茶な買い物は控えましょう。
弁護士から商標権侵害物品を輸入していることを示す警告書が届くケースもあるようです。税関とブランド会社が連携しているケースもあり、ブランド会社が弁護士を通して警告をし、状況がひどい場合には刑事事件や民事事件に発展することもあるようです。
通知書や警告書を複数回受け取っている方は一度弁護士へ相談してもよいかと思います。
買い物で人生に傷を付けないでください。。。

前置きが長くなりましたが、私が先日受け取った認定手続開始通知書についての経緯をまとめます。

買い物経緯

私は普段 Apple Watch をしています。一度身に着けるとiPhoneとの連携が便利で手放せないんですよね。
こんな私でも昔は Rolexなどのいわゆる高級時計と呼ばれるジャンルの時計をいくつか所有していました。
今はもう全て売ってしまい手元に残っていないのですが、Apple Watchがあれば何一つ不満はありませんでした。
ただ、年に数回あるかないかのフォーマルなシーンではガジェット系時計ではなく、通常の時計が必要になることもあるため、ネットでザッピングしていました。
買っても使う頻度は低いため、高級時計ではなく安価なものでチープに見えないものを探しました。
不思議なものでこういった系統のものを探すとなぜか中国系サイトに辿り着いたりします笑

某ブランド風の時計を見つけたので購入を検討しました。某ブランドの時計に似てはいましたが、ロゴなどが一切入っておらずシンプルでいいなと思いました。
※これって中国サイトあるあるなのでしょうか?結果的にその某ブランドのロゴがバッチリ入った商品が送られてしまい、問題になってしまいます。
本家に比べたら100分の1以下の価格です。デザインは似ているがロゴも無いし、オマージュ商品で問題ないだろうと気軽に購入してみました。

購入日:2022/3/11、配送予定日:2022/4/1 注文から20日ほどかかる予定。

荷物を追跡すると2週間ほど経過した3/24には日本に到着していて、同日に税関に入っています。
その後荷物が届かず、到着予定日の4/1に。この時点で確認すると「通関手続中」のステータスが3回も表示されています。嫌な予感しかせん。

さらに数日後

税関から【認定手続開始(輸入者等意思確認)通知書(名宛人用)】の書類が郵送で届きました。
内容にある「ロレックス」の表記を確認して『あ、もしやロゴ入りの商品を送られたかな?』と思い始めます。
形が似ていてもさすがにピンポイントで「ロレックスの商標権侵害」とは言ってこないと思い、明記 = ロゴが入っていると思った次第です。

このような通知を受けたことが初めてで、私の中では没収・破棄になるのかな?と思ったのですが、この時点ではまだ没収の状態ではないようでした。
『商標権侵害の疑いがあるため、輸入者と権利者の意見を求めた上で判断するので、意見がある場合は申し出て下さい。
なければ、権利者側の意見が認められ没収・廃棄される可能性がありますよ。』という内容が記載されています。

ここから「税関」「認定手続開始通知書」をネットで鬼のように調べ始めます。税関オフィシャルの情報はありますが、個人輸入者側の情報はそれほどないんですよね。
それでもいくつか同じような境遇の方がブログを綴っており、拝見させていただきました。
『意見書』なるものを出せば没収・破棄されずに手元に届くケースもあることを知ります。意見書を提出しなければ没収・破棄の刑に処されるとのこと。
これはチャレンジするしかないですよね。

意見書には下記事項の記載が必要のようです。
・受取人氏名
・受取人住所
・電話番号
・開始通知番号
・荷物の追跡番号
・差出人名
・差出人住所
・荷物内容
・意見内容
・その他、追加書類

意見内容で重要なのは、輸入品については輸入者の個人使用が目的で、第三者への譲渡や転売行為を行わないことを明言することです。
またこの輸入が輸入者の生業でないことも明記したほうがよいと思います(販売目的での購入ではなく、あくまで個人の買い物で、商品は自分が使うためだけに購入の旨明記)。
追加書類で勤め先情報(名刺や社員証など)や運転免許証のコピーなども付ける方もいるようですが、私はどちらも提出しませんでした。
意見書には正式な書式がありません。A4用紙に必要項目を記入して提出しました(WORDで作成し、A4印刷。自分の名前の横に押印)。
購入経緯、購入したサイトと商品ページ(私の場合、金額やロゴなし商品の画像が表示されているもの)のスクリーンショットとURL、商品を購入した個人カードの決済履歴を添付しました。
実際の意見書内容はファイルを消してしまっており手元に残っていません。参考にしたいという方もいるかと思いますが、個々で内容は変わると思います。どう書いてよいのかわからない場合は税関に電話で問い合わせると親切に教えていただけるそうです。
また他個人のブログサイトにてサンプルも見かけたので探してみるのもいいかもです。
ちなみに、結構気軽に購入しており、法を犯してまで欲しいわけではないため、当然ですが、法律違反になるようなものであれば破棄をお願いしますと追記しました。

意見書提出後の流れ

意見書を郵送提出してから数日後、【証拠・意見提出期限通知書(輸入者等用)】という書類が送られてきました。
追加で証拠・意見があれば出せますよという内容です。また、文面にあるように実際の貨物の画像を依頼すればメールで送ってもらえるようでした。
追加証拠や意見、画像も特に見る必要性を感じなかったためこちらの書類に対しては特に返信しませんでした。

さらに、上記書類の提出期限日の翌日に【疑義貨物品に係る証拠等に対する意見徴求書】という書類が送られてきました。

簡単にいうと日本ロレックス株式会社からの意見書です。
1. 偽物で商標権侵害品である
2. 転売の可能性があるため通関させないで
という内容でした。
こちらをみて「」と思いました。
ご丁寧に通関させるなとまで。はい。そうですよね。ごもっとも。
商品破棄される場合、通知はくるのかな?追跡サイトのステータスはどのように表示されるんだろう?と違う方へ興味が沸いてきました笑

日本ロレックスさんからの意見書に対しても意見があれば提出できるようですが、すでに諦めの境地に至っており沈黙です。提出期限は5月頭です。
こちらも特に返信はしませんでした。

そして結果は。。。

もう破棄処分されたと思っていた5月下旬に差し掛かる頃、また新たな書類が送られてきました。【認定通知書(名宛人用)】です。

要は今までの結果通知ですね。丁寧に結果通知までしてくれるのかと思いつつ、中身を確認して驚きました。
“偽物だけど商標権を侵害するものとは認められない”とのことです。え?そうなんですか?

・個人利用目的
・数量が1個だけ
・業として販売・転売目的の輸入ではないと思われる

上記が理由のようです。

まとめ

個人利用でも数が多かったりしたら販売・転売にも利用されると思われ没収・破棄になっていたかもです。

今回は通関を認められましたが、労力や法に抵触するリスクを考えたら、購入商品は慎重に選ばいないといけませんね。
勉強になりました。時計やカバンなど正規ブランド品の類似品などは二度と購入しないように気をつけようと思います。
今回の時計も安いだけにすぐ壊れるかもですが、壊れたら原型を留めないほど破壊してから不燃ごみで破棄しようと思います。
税関の皆様、お手数おかけしました。

ちなみに結局注文から2ヶ月半ほどかけて届いた商品ですが、安価な割にとても良くできています。
ロレックスは実際に自分でも長年保有していた経験があるため、よくできているものでも偽物ならある程度すぐ気付きます。
特にデイトナは針の動きやダイヤルデザイン、その他細かいディテールで少し離れた場所から見ても真贋が分かりやすいですね。
DAYDATE、DAYTONA、EXPLORER、サブマリーナDATEを保有していたことがありますが(もちろん全て本物です)、今回の購入品はよく見ないと本物と見分けがつきません。
今回のものはデイトナではないですが、外したものを手元でじっくり見ないと、着けていたら判別は難しいレベルです。
中国クォリティも物によっては高くなっているんですね。おそろしや。

ロゴなし時計がよかったのですが、結果、できの良いロレックスのパチモノをゲットしてしまったというお話でした。

追加情報

ちなみに購入したストアですが、通報が入ったのかECサイト運営にBANされたのか、現在は商品ページはもとよりショップページ自体がなくなっています。

あと、今回色々と調べてわかった重要な事項ですが、商標法・意匠法が改定され、今後は個人利用だとしても破棄されるようになります。
改正の根拠となる法令名は、「特許法等の一部を改正する法律(2021年法律第42号)」です。 公布日と施行日は、次のとおりです。
公布日:2021年5月21日  施行日:公布日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日
私の購入品が通関したということは、2022年5月時点ではまだ施行されていなかったのかと思います。しらんけど。

この改正によって、日本国内にいる個人の輸入者が個人使用目的で模倣品を購入した場合でも、海外事業者による模倣品の持込行為は、登録商標の使用行為や登録意匠の実施行為に該当することになり、商標権侵害や意匠権侵害を問うことが可能になりました。
今後、間違いなく模造品は個人利用目的の輸入でも禁止されるようになります。没収・破棄だけで済めばよいですが、警察・税関当局を含む行政機関による行政摘発、不正競争防止法に基づく請求や知的財産権侵害に基づく差止請求等の民事的措置、刑事告訴という刑事的措置などのリスクも高くなるかと思います。
私のように軽い気持ちで「ロゴないし大丈夫っしょ」とか「偽物とわかってるけど、ダメ元で」などは絶対やめましょう。

手元に商品が届かなかった場合、ここからECサイトとの返金問題にも発展します。頑張ってください。

さて、そんなこんなでなぐり書き状態になってしまいましたが、少しでも参考になれば。
よいネット通販ライフをお送りください!

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