ダイアモンドや貴金属(金・銀・プラチナ)の硬さを調べていて
参考になるブログを発見。保存用に引用します。
引用に問題があれば削除します。
※個人的に参考になったのは
【7】指輪の地金の物理的性質 です。
鑑定書を見る時にカットグレードについて誤解があるようなので、ここで取り上げておきます。
カットグレードの評価は世界標準の評価方法はありません。
そのため、鑑定書に記載されているカットグレードに関しては、ところ変われば…の状態です。カットは、プロポーション、シンメトリー、ポリッシュの3項目で評価されますが、特に、プロポーションに関しては「ダイヤモンドのカット」のところで説明したように、どの形が一番キレイかというのは、判断が難しいので、プロポーションの評価は、全体の高さ、テーブルの広さ、パビリオンの高さ、クラウンの高さ、ガードルの高さ等が、キューレットの大きさに対して、どの程度かという数値で判断されます。しかし、この判断は素人では難しい…として、カットグレードという考え方が最近横行していますが、このカットグレードというのは、単なる参考の値であって絶対的なものではありません。
日本では、ダイヤモンドのプロポーションを、GIA の理想的とされるトルコウスキー型から、どの程度ずれているかという判断基準で、Exellent、Very Good、Good、Fair、Poor の5段階に分けてグレードが付けられています。しかし、日本には無数の鑑定機関があり、この”どの程度”の物差しは鑑定機関によって違ってきます。全国宝石学協会、中央宝石研究所、AGTなどでの大手鑑定機関でも、物差しはそれぞれ若干違うようです。
アメリカでは GIA が有名ですが、GIA の鑑定書は、プローポーションの数値は示しますがグレード表示はありません。また、GIA と同格と称される AGS では、日本のようにトルコウスキー型からのずれの程度で、5段階評価をしていますが、それは Ideal、Exellent、Good、Fair、Poor の5段階でグレード分けされ、Excellent は2番目の評価です。
ヨーロッパの HRD では、カットグレードが表記されますが Very Good、Good、Unusual の3段階です。ここには、日本で最高級と評価される Exellent という評価はありません。また、ヨーロッパで最高級のカットと言われている形は「ダイヤモンドのカット」で説明したように、テーブル径が広くて、日本では良くて Very Good 程度の評価しか受けません。しかし、これが悪い形かというと、そうは言えないと思います。
このように、プロポーションのグレードは、世界中で全く違う物差しで評価されています。ある鑑定では Ideal が最高級、ある鑑定では Excellent が最高級、ある鑑定では Very Good が最高級です。鑑定書に書かれるカットグレードだけで比べると誤解を生むので、注意が必要です。パビリオン角、クラウン角、テーブル径などを、きちんと数値で判断すべきです。
また、シンメトリーやポリッシュの評価も鑑定機関によって、日本や GIA では Exellent、Very Good、Good、Fair、Poor の5段階、AGS では Ideal、Exellent、Good、Fair、Poor の5段階、ヨーロッパの HRD では Very Good、Good、Medium、Poor の4段階と評価の仕方が違うようです。ここでもまた、最上級の表現は、Ideal、Exellent、Very Good と様々です。このようにカットは、世界で統一された評価がおこなわれているわけでは無いので、単に Exellent だ、Good だ…といったグレードの評価だけで、良いダイヤ、悪いダイヤと決めつけるのは大変危険だというのが率直な印象です。
そして、先にも言いましたが、プロポーションやシンメトリーで、ダイヤモンドの大まかな輝きの特性は想像できますが、正確には58面全てが影響してきます。このような細かい点は、プロポーション、シンメトリー、ポリッシュのどの項目にも入ってきません。そして、58面全てを考慮に入れて、どういった角度にカットするときが一番キレイかは、完全には解き明かされてはいません。
最近では、全ての面がバランス良く削られている証明として「ハート&キューピット」と言って、ダイヤモンドの前面から綺麗な矢の形、ダイヤモンドの背面から綺麗なハートの形が見えるように写真が、鑑定書に付けられていることがあります。この写真は、確かに全ての面がバランス良く削られている証拠になると思います。ただ、ダイヤモンドの輝きへの影響は、それぞれの面の角度です。それぞれの面の角度に関する情報には成り得ません。ただ、自分の持っているダイヤモンドが丁寧に削られている証明にはなるので、このような写真を見るのは嬉しいものだと思います。
このように鑑定書の結果は、参考にはなりますが、絶対的な統一基準で表現されているものではありません。そして、鑑定書の数値が良いダイヤモンドは、輝きという面では、とんでもなく酷いものでは無いと思います。ただ、本当の細部の僅かな差を考えていくときは、鑑定書だけで全てを示せる訳ではなりません。
これは僕のこれまで様々な分野の職人さんと接してきた経験から来る考えで、科学的な根拠とは思われないかも知れないですが、人間の目は本当に凄いです。鑑定書に書かれている細かな項目ばかりに目を取られるよりも、実は自分の目を信じて、世界でただ一つのダイヤを探す気持ちで、一つ一つのダイヤの輝きを比べていくと、本当に僅かな輝きの違いを感じられるものだと信じています。実際に綺麗に輝くダイヤモンドというのは、鑑定書の数値だけを見るのではなく、自分の目を信じて、自分が気に入ったものを選ぶと、鑑定書以上に、しっかり選別されたダイヤと巡り会える可能性が出てくると思います。そして、そのように選んだダイヤは、その分、思い入れも入るので、その人にとっては最高のダイヤになると思います。
ここで、余談ですが…
日本で、カットグレードが、殊更に叫ばれた背景には、1980年代後半からバブル景気にのってダイヤの消費が急激に増えたが、当時の日本のダイヤの考え方は、第一にカラットで、次いでカラーとクラリティーとなり、カットの重要性は、ほとんど認識されていなかったことから興ったらしいです。当時の販売業者は消費者の無知をいいことにして、儲け率の大きい粗悪なカットのダイヤモンドを大量に販売したようです。この為に、正規にカットされたダイヤを販売している海外ブランド会社がカットの違いの強調のために、日本の鑑定書にカットのグレードを載せろと圧力をかけたのが、日本でのカットグレードが叫ばれ出した起こりだそうです。
そして、日本の文化として面白いことは、一端こういった流れに乗ると、そこからカットについての評価が必要以上に叫ばれるようになり、今では日本ではカットグレードに絶対の価値があるように広まったそうです。そして、今では、日本のカットは凄く良くて、外国のダイヤのカットは悪いと宣伝する業者もでているみたいです。ダイヤモンドの輝きにはカットが大切だという認識自体は悪いことではないと思いますが、日本では、その評価の中身を全く理解していないで、Exellent、Very Good、Good、Fair、Poor の5段階だけが一人歩きしてしまい、このグレードだけでカットの善し悪しがわかるとの誤解が広まってしまっていることは問題があると思います。しかし、見方を変えると、この辺りも、日本の文化を特徴づけていて面白い気がします。
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